藤沢周平 とどめの一文

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藤沢周平の時代小説より「一文一段落」でしめくくられる73作品を紹介。主に登場人物を描写し、鮮やかな幕切れを演出する末尾の一文から、藤沢作品とそこに描かれたひとびとの魅力を解説する。


著者 半沢幹一 著
カテゴリー 新典社新書
判型 新書判並製
ISBN 978-4-7879-6181-5
商品コード: 9784787961815 カテゴリー:

説明

目次

“ はじめに

おしのの、短い旅は終っていた。(暗い繩)
疲れてかすんだ眼をこすり、清次は再び鑿をとり上げると、(略) (闇の梯子)
お吉はつぶやいたが、不意に自分も掌で顔を覆った。(父と呼べ)
薄闇の中にいる男とは、遠い昔に別れていたのだ、とも思った。(旅の誘い)
その鳥たちのしあわせに、微かな妬ましさを感じながら、(略) (霜の朝)
屋根を叩いていた時雨は、遠く去ったらしく、(略) (時雨のあと)
耳に轟いて、題目の声が続いていた。(穴熊)
耳を聾するばかりの時の声の中で、直太も寝たまま首をもたげ、(略) (石を抱く)
達平は、まだ頭が痛かった。(拐し)
橋の方から駆けてくるおようを指さしながら、おすまはそう言った。(閉ざされた口)
幸吉はぐいぐいと櫓を漕ぎながら罵った。(三年目)
まだ立って、こちらを見送っている茂太の眼を背に感じながら、(略) (春の雪)
囁いて、おまちが後からそっと幸吉の肩を抱いた。(裏切り)
空になった茶碗を、掌の中でもてあそびながら、信蔵はそう思い、(略) (暗い渦)
暗く長い廊下を歩きながら、おつえは(略) (歳月)
「そうそ、あれが運の尽きだった」と言ったが、(略) (運の尽き)
暗い空に、まだ雨の気配が動いているのを感じながら、(略) (時雨みち)
そうかね、と新助は答えた。(幼い声)
大またに歩いて行くおとくのあとから、仙吉は呼びかけながら、(略) (おとくの神)
おのぶは、近ごろめっきり白くなった髪を櫛で掻き上げると、(略) (夜消える)
そのままおいしは凝然と立っていたが、(略) (冬の日)
みじめだったが、そのみじめさがいまの自分に(略) (苦い再会)
お茶漬けに気をそそられて上がりこんだ男が、不思議そうに言った。(初つばめ)
これでほんとにおしまいかと疑いながら、(略) (遠ざかる声)
立ったままで栄之助が女を抱くと、部屋のなかにいる猫が小さく鳴いた。(猫)
千吉はいっぱしの大人の気分で言った。(春の雲)
凝然と見送っている歌麿の眼に、(略) (さくら花散る)
道は諏訪町を通りすぎるところで、(略) (蜩の朝)
苦い気持で、歌麿は燃えるような鱗雲を眺め続けていた。(赤い鱗雲)
眼をあげると、おさとの後ろ姿が、(略) (霧にひとり)
日がさらに高くのぼり、誰もいない土蔵裏を白日が照らしたとき、(略) (朝顔)
佐之助が言うと、おくみはええと言い、(略) (ちぎれた鎖)
背に悲しみを見せたその後姿が遠ざかるのを、(略) (荒れ野)
力ない日暮れの光に照らされて歩いて行くサチは、(略) (鬼)
もう一人の失踪人、丑太の兄安五郎がどうなったかは、記録にない。(二人の失踪人)
登は日が射しはじめた橋をはなれて、町の方にゆっくりと歩いた。(雨上がり)
暑い日が水の上にきらめいている割下水そばの道を、(略) (善人長屋)
「おとなしくしてればいいのに」と登も言ったが、(略) (待ち伏せ)
馨之介は走り続け、足はいつの間にか家とは反対に、(略) (暗殺の年輪)
範兵衛は、今年は早めに出してもらった行火炬燵の中で、(略) (ただ一撃)
風もない、穏やかな日射しの中で、二人の女は、(略) (潮田伝五郎置文)
振り向くと、日に照らされた砂の上に、(略) (密夫の顔)
斬り込んできた織部正の剣を巧みにはずしながら、(略) (嚏)
源次郎の笑い声が高くなるのを、明乃は怪訝そうに見つめたが、(略) (冤罪)
半九郎は憂鬱な顔をうつむけて、甚内の後をついて歩いた。(一顆の瓜)
多美や子供の顔を思い浮かべて、丹十郎はそう思ったが、(略) (竹光始末)
折りとられた梅の枝ははげしく匂い、志津のあとから、(略) (梅薫る)
今夜の奉行との話を聞かせたら、けいは喜ぶかも知れないが、(略) (泣くな、けい)
八之丞や鉄蔵が来る前に、ひとこと母上と言ってみたい、(略)(泣く母)
万力のような力で袖をつかまれて驚愕している中老に(略) (悪癖)
いま、夫婦再会のいいところなのに。少し静かに出来ぬかと(略) (山姥橋夜五ツ)
田鶴は晴れ晴れとした声で言った。(榎屋敷宵の春月)
だがそのはるも、郷見が藤右衛門の子を(略) (上意改まる)
右の二つの挿話は、信憑性のほどは保証しかねるけれども、(略) (死闘)
冬近い、淡く力ない日射しが、遠ざかる女の背を(略) (邪剣竜尾返し)
気をつけろ、と惣六は自分をいましめた。(女難剣雷切り)
遠ざかるうしろ姿を、門のわきにいた人足が(略) (陽狂剣かげろう)
修助は竜泉院の境内で会った秦江を、(略) (暗黒剣千鳥)
その顔を見返しながら、七兵衛はまだ物も言えず、(略) (孤立剣残月)
言うと、老練の与力はすばやく立って部屋を出て行った。(悪党の秋)
又八郎は、そう思いながら、立ち上がると膝の埃を払い落とし、(略) (犬を飼う女)
――芳之助師匠はいい人間だが、(略)(娘が消えた)
ゆっくり手紙をちぎりながら、又八郎は(略) (内儀の腕)
好色なうえに吝い老人を相手に、又八郎は懸命に売り込んでいる。(奇妙な罠)
谷口権七郎の恐れは正鵠を射ていた、と思いながら、又八郎は(略) (再会)
歯を喰いしばって歩きながら、又八郎は(略) (梅雨の音)
月もない暗い夜で、孫十郎の気分は(略) (疑惑)
お津世は赤くなって玄次郎をつねった。(針の光)
玄次郎は元気のない声で、銀蔵に言った。(青い卵)
五月三日仙台で調印された奥羽列藩同盟に、(略) (十四人目の男)
佐々木たちが高笑いの声を残して、(略) (回天の門)
行燈の灯が、白髪蒼顔の、疲れて幽鬼のような(略) (市塵)
馬腹を蹴って、助左衛門は熱い光の中に走り出た。(蝉しぐれ)

 おわりに”

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